ABBA

アバは70年代にヨーロッパで最も成功したボーカルグループ。ビョルン・ウルヴァース、ベニー・アンダーソン、アグネッタ・フォルツコグ、アンニ・フリッド・リングスタッドの4人。スウェーデン出身。ABBAは4人の名前の頭文字を取っている。スウェーデンは60年代のエレキブームではスプートニクス、80年代のハードロックブームではヨーロッパ、90年代はカーディガンズを輩出し、北欧のポップス先進国となっている。爽快でポップな混声コーラスが特徴。70年代後半はディスコのサウンドになっている。ABBA結成前は男性2人でビヨルン&ベニーとして活動し、「木枯しの少女」をヒットさせている。一時は2組の夫婦グループだったが、両方とも活動中に離婚している。1983年に活動停止。現在でもヨーロッパでは絶大な人気を維持している。

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RING RING

1973年。邦題「リング・リング~木枯しの少女」。男女2人ずつのボーカル・グループ。男性の2人はそれぞれギター、ピアノを演奏することもある。ビヨルンとベニーの男2人が活躍。アコースティック・ギターとピアノを多用したアナログな音が多い。DVD付きデラックス・エディションはボーナストラックが豊富で貴重な曲が多い。「見知らぬ街の少女」収録。

2
WATERLOO

1974年。邦題「恋のウォータールー」。初期の代表曲「恋のウォータールー」収録。この時期にしては「ウォッチ・アウト」のサウンドは異色。基本的には前作の音を踏襲。「落葉のメロディー」「ハニー、ハニー」収録。DVD付きデラックス・エディションは「恋のウォーター・ルー」がボーナストラックとDVDで13バージョン入っている。

3
ABBA

1975年。「エス・オー・エス」「ママ・ミア」「バング・ア・ブーメラン」「アイ・ドゥ・アイ・ドゥ」など人気曲がたくさん入っているが、出た当時はあまり評判にならなかったようだ。「トロピカル・ラヴランド」は文字通りトロピカル。「インテルメッツォ・ナンバー・ワン」はベニー・アンダーソンのクラシック風ロック・インストゥルメンタル。バラエティに富んでいる。

4
ARRIVAL

1976年。「ダンシング・クイーン」が入った大ヒット作。女性2人の活躍が大きくなり、男2人はほとんどメーン・ボーカルを取らない。「ノウイング・ミー・ノウイング・ユー」「マネー・マネー・マネー」「ザッツ・ミー」収録。あまりベスト盤には採用されないが「ダム・ダム・ディドゥル」はいい曲だ。

5
THE ALBUM

1977年。快活なポップスから少々大人になった感じのポップスになった。「テイク・ア・チャンス」「きらめきの序曲」収録。最後の曲は3部作で12分半もある。

6
VOULEZ-VOUS

1979年。室内合奏で始まる「アズ・グッド・アズ・ニュー」は意表を突く。「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は児童合唱を使う。子どもの素朴な夢を描いており、1979年の国際児童年を意図した曲だろう。「ダズ・ユア・マザー・ノウ」は久しぶりにビヨルン&ベニーがリードボーカルをとる。「ヴーレ・ヴー」「チキチータ」収録。デラックス・エディションの「ドリーム・ワールド」はポップでいい曲だ。途中で「ダズ・ユア・マザー・ノウ」のメロディーが出てくる。

7
SUPER TROUPER

1980年。アバのアルバムは「ヴーレ・ヴー」が最高傑作だと言う人もいるが、このアルバムもすばらしい。人気曲がオープニング曲から3曲続き、途中も「ザ・パイパー」「レイ・オール・ユア・ラブ・オン・ミー」といった名曲が並ぶ。このアルバムの録音中にビヨルン・ウルヴァースとアグネッタ・フォルツコグが離婚、アルバムが出た直後にベニー・アンダーソンとアンニ・フリッドが離婚。

GRACIAS POR LA MUSICA

1980年。ヒット曲のスペイン語バージョン。10曲収録。「ダンシング・クイーン」などは演奏の編曲がやや異なる。「ママ・ミア」「チキチータ」はタイトルになっている部分をそのまま歌うが、「ギミー・ギミー・ギミー」「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」等はタイトル部分もスペイン語で歌う。英語とスペイン語ではモーラが異なり、メロディーは言語のリズムに影響を受けるということが分かる。

8
THE VISITORS

1981年。最後のスタジオ盤。ロック色は薄くなり、オーケストレーションが目立つ。録音中に明るい曲は少なく、グループの精神的状況が現れている。「ヘッド・オーヴァー・ヒールズ」「ワン・オブ・アス」は爽快とはいかないまでも十分にポップだ。現在のCDにはアバ最後のスタジオ作品がボーナス・トラックで収録されている。「アイ・アム・ザ・シティ」「ユー・オウ・ミー・ワン」はポップだ。「カサンドラ」は「チキチータ」のような曲。

9
ABBA LIVE

1986年。唯一のライブ盤。スタジオ盤ではフェードアウトで終わっていた曲がライブでどう演奏されたのか分かるのはいいが、MCがまったくないので臨場感に欠ける。

ABBA GOLD

1992年。ベスト盤。世界で2000万枚も売れているという。

S.O.S.

2001年。シングル盤。ドラマのエンディング曲とオープニング曲に使われたのでシングル発売された。

LIVE AT WEMBLEY ARENA

2014年。ライブ盤。2枚組。1979年のライブなので「スーパー・トゥルーパー」「ヴィジターズ」の収録曲はない。歓声は小さく、熱狂的な雰囲気ではない。スタジオ盤で児童合唱を使っていた「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、ライブでも児童合唱と共演している。「今年は国際児童年です」というMCが聞ける。「アイム・スティル・アライヴ」はスタジオ盤未収録曲。1枚目のオープニング曲はライブのイントロのようになっているので、実質的に24曲収録している。「木枯しの少女」「リング・リング」「マンマ・ミーア」「ザッツ・ミー」は選曲、収録から外れている。ジャケットはウェンブリー・アリーナでの撮影ではなくカナダ公演の写真を流用している。

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VOYAGE

2021年。40年ぶりのスタジオ録音盤。以前と同じように女性2人のボーカルハーモニーを前面に、若干落ち着いた雰囲気の曲を歌う。40年たっても女性2人の声はそれほど衰えていない。声の張りはさすがに以前と同じではないが、逆にまだこれほど歌えるのかという印象だ。全体的に曲はアバの後期に似ており、どの曲もこれまでのアバのイメージに近い。「ドント・シャット・ミー・ダウン」「ジャスト・ア・ノーション」「ノー・ダウト・アバウト・イット」はポップ。「キープ・アン・アイ・オン・ダン」の最後は「S.O.S.」のピアノフレーズを挿入している。