2006年。シングル盤。ボーカル兼ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成。アップテンポで切れのいいギターで、勢いがある。デビュー曲としてのインパクトは十分。アルバム未収録曲2曲収録。「ビガー・ボーイズ・アンド・ストールン・スイートハーツ」はストロークスのようなサウンド。3曲目はインスト曲。
2006年。シングル盤。3曲で7分弱なので、アナログ盤シングルをそのままCDにしていると思われる。
2006年。とても若い風貌の4人組。ストロークスをハードにしたサウンドで、ハードコアやラウドロックなどに踏み込まないところでとどまる。音を詰め込むというような雰囲気ではなく、4人ですべての音を再現できるような演奏になっている。キーボードは使われない。13曲で41分。
2006年。シングル盤。5曲入り19分。
2006年。シングル盤。「プット・ユア・デュークス・アップ・ジョン」はリトル・フレイムス、「ベイビー・アイム・ユアーズ」はバーバラ・ルイスのカバー。
2007年。シングル盤。4曲入り。どの曲もロックン・ロールの勢いやダイナミックスさをよく出せている。
2007年。オープニング曲は豪快なロックン・ロール。2曲目はサビでキーボードを使い、聞きどころが続く。覚えやすいギターのメロディーが次々出てくるので、それぞれが逆に埋没するくらいだ。サウンドにもう少し幅があってもいいような気がする。
2007年。シングル盤。アルバム未収録曲3曲収録。
2007年。シングル盤。タイトル曲はキーボードが使われる曲。「ザ・デス・ランプス」は3分強のインスト曲。「ネトルズ」は2分弱。
2009年。サウンドが若干厚くなり、キーボードも使われる。派手ではないが暗さやひねくれた感覚もなく、淡々と演奏しているような印象だ。若い割には大人びた落ち着きがある一方、メロディーには以前よりも多彩さが出てきている。ベースが主導する曲もあり、これから音楽の幅がどんどん広がっていくことを期待させる。ボーカルにもう少し表現力が欲しい。若いゆえに大目に見てもらえる時期はこの辺が最後かもしれない。10曲で40分弱。
2011年。これまで展開されてきたギター中心のロックを、アークティック・モンキーズがいくつか試してみたような曲がある。解説によるとスタジオライブのような録音なので、聞こえてくるサウンドがほぼバンドの実力を示していると言える。演奏に余裕が出てきた。ドゥーワップのようなコーラスやバッドフィンガーのようなポップさがあり、一方で90年代以降のシューゲイザー風背景音も取り入れる。サウンド面ではもう少し大胆でも否定はされないだろう。
2013年。ボーカルの音域の狭さはこのバンドの個性であり難点でもあったが、ベースとドラムがつける高い音域のコーラスによって難点を減らし、個性の部分を押し出している。「ナンバー・ワン・パーティー・アンセム」「マッド・サウンズ」はキーボードとギターが曲を主導し、少しずつサウンドの幅を広げている。「アラベラ」はブラック・サバスの「ウォー・ピッグス」を参照したサウンド。「ナンバー・ワン・パーティー・アンセム」はジョン・レノン風の曲。「ワン・フォー・ザ・ロード」「ニー・ソックス」はクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムが参加している。「AM」とはアークティック・モンキーズの頭文字であり、AMラジオで一般的な中波を表す。ジャケットの波長は中波を表す。
2018年。曲調、サウンドを大きく転換し、キーボード、ストリングスを多用したヨーロッパ風ポピュラー音楽に近くなっている。フランスを中心とするラテン文化圏の室内音楽を思わせる。これまでのアルバムからの音楽的継続性はギター、ベース、ドラムがあるバンド編成だけで、ギターを中心とするロックンロールのバンドであったことは断ち切られている。全曲をボーカル兼ギターのアレックス・ターナーが作曲しており、アークティック・モンキーズがアレックス・ターナーの個人バンドであることを強く確認させる。このサウンドを今後も継続する可能性は低いだろうが、このアルバムを出したことで、何をやってもよいという自由さを獲得できたことは大きい。「ワン・ポイント・パースペクティヴ」「アメリカン・スポーツ」「ゴールデン・トランクス」「シー・ルックス・ライク・ファン」はギターと言えなくもない。
2008年。アークティック・モンキーズのボーカル兼ギターが結成した2人組のグループ。全曲でストリングス、キーボード等が使われ、12曲のうち10曲はストリングスを使う。アークティック・モンキーズでもできないことはないだろうが、別のバンドでやった方がアーティスト側にも聞き手にも都合がいいだろう。アークティック・モンキーズのボーカルがそのままこのグループでボーカルをとっているので、バックの演奏からストリングスを取り除けばアークティック・モンキーズのサウンドに近くなる。声や歌い方の個性は大きい。ストリングスはクラシック調というよりは映画音楽風で、ポール・モーリアやカラベリ、マントヴァーニが活躍した50、60年代の雰囲気がある。メロディーの抑揚も大きく取れるので、曲が印象に残りやすい。