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BRUCE SPRINGSTEEN

1 GREETINGS FROM ASBURY PARK,N.J. 1973年。邦題「アズベリー・パークからの挨拶」。ブルース・スプリングスティーンはボーカル兼ギターのソロ・アーティストで、バックはベース、ドラム、キーボード、サックス。キーボードはオルガンとピアノが中心で、ギターはアコースティック・ギターも多く使用。ボブ・ディランほどくせはないが、それに近い雰囲気がある。ロック時代のボブ・ディランをなじみやすくした印象。メッセージ性はそれほど強くなく、一般的なロックの範疇に収まっている。「夜の精」「光で目もくらみ」収録。
2 THE WILD,THE INNOCENT&THE E STREET SHUFFLE 1973年。邦題「青春の叫び」。ブルース・スプリングスティーンのほかにバックバンドのメンバー5人を固定し、これをEストリート・バンドとしている。ベース、ドラム、キーボード2人、サックスの編成で、ベースはチューバを兼任。メロディー楽器はギターよりもピアノ、オルガン、ホーン・セクションが目立つ。ハードな曲とアコースティックな曲が交互に配置されており、「E・ストリート・シャッフル」「いとしのロザリータ」は派手だ。
3 BORN TO RUN 1975年。邦題「明日なき暴走」。ひたむきさとサウンドのハードさがうまく釣り合い、バランスのとれたアルバム。曲のイメージとサウンドが一貫して真面目で、ドラマティックさもあり、初期の大ヒット作となった。
4 DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN 1978年。邦題「闇に吠える街」。デビューから一貫して故郷のアメリカを歌い、アルバムを出すごとにテーマを変化させているが、このアルバムでは、視線が暗部にも向いている。これまでは自分の周りの環境や自分自身について歌ってきたが、今回はタイトルからして方向が異なっている。サウンドは前作のような力強さよりも幾分軽くなっている。もちろん聞き所はサウンドよりも歌詞にあるだろう。
5 THE RIVER 1980年。2枚組。再び自分の周りを題材にしたアルバム。「明日なき暴走」や「闇に吠える街」のようなアルバムそのものの熱さではなく、シンガー・ソングライターのような懐かしさに似た寂寥感がある。一般的にはソウルやブルースの影響が強いアルバムだとされる。
6 NEBRASKA 1982年。アコースティック・ギターとハーモニカだけで録音されたアルバム。意識が周りよりも自分に向かっているという点では、前作の延長線上にあり、サウンド上の変化も了解できる。このようなサウンドの場合、何が歌われているのかが注目されるが、詩は「闇に吠える街」のように重苦しい。誰が悪いと決めてかかっているわけではなく、聞き手にさまざまな思索をさせる内容になっている。何かのメッセージを認めることも、妥当な聞き方ではないように思われる。
7 BORN IN THE U.S.A. 1984年。従来のロック・サウンドに戻り、記録的な大ヒットとなった。特にオープニング曲の「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」はアメリカ人に強い誇りのようなものを感じさせ、アメリカの80年代ロックの代表曲となった。実際はアメリカに批判的な内容の詩になっている。アメリカン・ドリームから見放されている男性が今をどう生きているかについて歌った曲が多い。一般にイメージされるアメリカ賛歌ではない。
    BRUCE SPRINGSTEEN&THE E STREET BAND LIVE 1975-1985 1986年。ライブ盤。
8 TUNNEL OF LOVE 1987年。曲ごとに演奏者の名前が表記されているので、表記のない楽器はブルース・スプリングスティーンということになる。したがって「ネブラスカ」に近い録音方法をとっているが、ロックの雰囲気は残したままだ。サウンドはややリラックスしており、目の覚めるようなきらびやかな曲は見られない。ジャケットも大人を感じさせ、次の段階へ入ったことをうかがわせる。
  CHIMES OF FREEDOM 1988年。4曲入りミニアルバム。4曲ともライブで、「自由の鐘」はボブ・ディランのカバー。「明日なき暴走」はアコースティック・ライブ。歓声の厚さで会場の広さが伝わってくる。
9 HUMAN TOUCH 1992年。「ラッキー・タウン」と同時発売。「トンネル・オブ・ラヴ」の路線。アルバム2枚を2枚組にせず1枚ずつ同時に出すのはブルース・スプリングスティーンが先鞭ではなく、ガンズ・アンド・ローゼズが先。
10 LUCKY TOWN 1992年。「ヒューマン・タッチ」と同時発売。女声コーラスが多いが、「ヒューマン・タッチ」とそれほど変わるところはない。明確に雰囲気を変える意図は感じられず、2枚を比較する意義も見出しにくい。
  STREETS OF PHILADELPHIA 1994年。4曲入りシングル。タイトル曲は映画のサウンドトラック。3曲はMTVの番組「アンプラグド」の曲。3曲のうち2曲は、後にCDで発売された「プラグド」に収録されていない。
    GREATEST HITS 1995年。ベスト盤。新曲4曲を含む。
  SECRET GARDEN 1995年。「グレイテスト・ヒッツ」からのシングル。6曲入り。日本盤ボーナストラックの「ルーレット」はハードですばらしい曲。
11 THE GHOST OF TOM JOAD 1995年。再び「ネブラスカ」に似たようなサウンドとなり、12曲のうち7曲はブルース・スプリングスティーンが1人で演奏し、歌っている。ホーン・セクションはなく、キーボードも最小限で、バイオリンとスチール・ギターがよく使われる。楽器編成だけでみても、サウンドがカントリーに近くなっていることが推測できる。歌詞は具体的な物語によって登場人物の悲哀を語る形になっており、それはデビュー以来変わらないブルース・スプリングスティーンのスタイル。個別具体例がアメリカだけの問題に限られるわけではないが、このスタイルは古典的なブルースのイメージに近い。トム・ジョードとはアメリカの小説家スタインベックの代表作「怒りの葡萄」の主人公。アメリカの小説では代表的な社会批判作。
    MTV UNPLUGGED 1997年。邦題「プラグド」。
  BEFORE THE FAME 1998年。邦題「ビフォア・ザ・フェイム〜栄光への旅立ち」。デビュー前の1972年ごろに録音された曲を収録した企画盤。13曲収録。「エヴァキュエーション・オブ・ザ・ウェスト」はギター、ベース、ドラム、ピアノ、オルガンを使い、唯一のバンドサウンドになっている。この曲以外はギターのみによる弾き語り。ボブ・ディランやピート・シーガーのようになりたかったと思われるスタイル。
    TRACKS 1998年。4枚組。
    18TRACKS 1999年。「トラックス」の4枚から15曲を選んでCD1枚に編集し、未発表曲3曲を追加。
    LIVE IN NEW YORK CITY 2001年。ライブ盤。
12 THE RISING 2002年。E・ストリート・バンドとともにバンド・サウンドを作った。前半は女声コーラスとビートを効かせたリズム&ブルースに近いサウンド、後半はシンガー・ソングライターのようにミドルテンポを中心とした哀切を漂わせる。
13 DEVILS&DUST 2005年。「ネブラスカ」のようなアコースティック作品。ブルース・スプリングスティーンのボーカルとギターに、若干のキーボード、パーカッションを加えた曲が多い。「オール・ザ・ウェイ・ホーム」「ロング・タイム・カミング」はカントリー・ロック風で、明確にドラムが使われるが、他の曲はスチール・ギターやハーモニカを使い、静かに、絞り出すように歌う。ベースはブレンダン・オブライエン。
    WE SHALL OVERCOME : THE SEEGER SESSIONS 2006年。1960年代のフォーク歌手、ピート・シーガーのカバー集。「ウィ・シャル・オーヴァーカム」はジョーン・バエズでも有名。ピート・シーガーはボブ・ディランやピーター・ポール&マリーとともに60年代前半のフォーク・リバイバルで活躍し、大学生の社会批判精神に大きな影響を与えた。ピート・シーガーを採り上げたこと自体が社会告発だ。
    LIVE IN DUBLIN 2007年。ライブ盤。
14 MAGIC 2007年。アメリカン・ロックの手本のようなサウンドでありながら、ブルース・スプリングスティーンの個性を出しているという傑作。90年代以降では最高作。ギター2人、キーボード2人、サックス、女声ボーカル、ベース、ドラムの8人が中心となって演奏している。オープニング曲はハードロックとも呼べるロック。どの曲も間奏のサックスがいい。ロックの高揚感を失わない
15 WORKING ON A DREAM 2009年。「マジック」のメンバーにバイオリン奏者が加わった9人編成のバックバンド。コーラスやストリングスもあり、ロック、ポップスとして申し分ない環境だ。これまでのブルース・スプリングスティーンのアルバムでもかなり聴きやすく、弾き語りによる内省的なサウンドは1曲もない。オープニング曲の「アウトロー・ピート」は8分だが、2曲目以降は2分から4分。シンガー・ソングライターのように歌っていても、バンドサウンドが温かみを持ち込むので肩ひじ張らずに聴ける。
16 WRECKING BALL 2012年。ストリングス、ホーン・セクション、コーラスに多数のミュージシャンが関わる。目を引くのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギター、トム・モレロだろう。アイルランド民謡風、カントリー風の編曲が多く、歌詞は訴えかけることが多い。サウンドと歌詞の両面で意味に還元されるため、軽い気分で聞けるアルバムではない。「ウィ・テイク・ケア・オブ・アワ・オウン」はブルース・スプリングスティーンのイメージ通りの音。「レッキング・ボール」は過去の名曲に比肩するいい曲。「ランド・オブ・ホープ・アンド・ドリームズ」や「アメリカン・ランド」等は詩の内容に関心を抱かせるが、日本盤の解説で詳しく検討されている。

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