GOTTHARD/CHINA

  • スイスのハードロックバンド。
  • ゴットハードはハードロック低迷期の90年代にデビューし、2000年代はバラードが多くなった。
  • ボーカルのスティーヴ・リー、ギターのレオ・レオーニに人気があったが、スティーヴ・リーは2010年に事故死。

1
GOTTHARD

1992年。ボーカルのスティーブ・リーとギターのレオ・レオーニを中心とするスイスのバンド。ベースは元チャイナのメンバー。ボーカルの歌唱力はすばらしい。スイスという山国でこれだけ声の出るボーカルは貴重だ。ロックン・ロールからハードロックにかけてのサウンドになっているが、デビュー盤としては高品質。ジョー・サウス(またはディープ・パープル)の「ハッシュ」をカバー。デフ・レパードのビビアン・キャンベルが2曲で参加している。

2
DIAL HARD

1994年。余計な装飾がほとんどない生々しいアルバム。バンドの実力を証明するためと思われる。ボーカルはディープ・パープル、ホワイトスネイクのデイビッド・カバーデイルを思わせるところがある。「カム・トゥゲザー」はビートルズのカバー、「トラヴェリン・マン」は元クロークスのギター、マンディ・メイヤーが在籍していたスイスのバンド、コブラのカバー、「ロック・アンド・ロール」はレッド・ツェッペリンのカバーで、イントロは「ブラック・ドッグ」を挿入している。「マウンテン・ママ」収録。

3
G.

1996年。名曲の多い傑作。アルバムタイトルは「G・スポット」と読む。「マイティ・クイン」「ムーヴィン・オン」「レット・イット・ビー」「ファーザー・イズ・ザット・イナフ」の流れは屈指。「マイティ・クイン」はボブ・ディランの、「スウィート・リトル・ロックン・ローラー」はクロークスの、日本盤ボーナストラックの「移民の歌」はレッド・ツェッペリンのカバー。「ライド・オン」「フィスト・イン・ユア・フェイス」収録。発売当時、収録曲の半分以上がラジオで流れた。

 
THE HAMBURG TAPES~SPECIAL LIVE EDITION

1996年。5曲入りライブ盤。日本公演直前に発売された。

 
FIGHT FOR YOUR LIFE

1997年。邦題「闘え!アンディ・フグ」。5曲入り企画盤。アンディ・フグは格闘技のK-1の人。故人。アンディ・フグの日本語によるあいさつが入っている。「エイント・ヘヴィー」はアルバム未収録曲。

D-FROSTED

1997年。新曲4曲を含むライブ盤。

4
OPEN

1999年。元クロークス、エイジアのギター、マンディ・メイヤーが加入し、ギター2人の5人編成になった。キーボードが多くなり、ミドルテンポの曲が増えた。したがって、従来の勢いのあるハードな曲は少なくなり、マイルドな印象を与える。「ブラックベリー・ウェイ」はムーブのカバー。「ヘイ・ジミ」のジミはジミ・ヘンドリクスのことで、歌詞にジミ・ヘンドリクスの曲がたくさん出てくる。ギターもジミ・ヘンドリクスの音に似せている。

5
HOMERUN

2001年。前作に引き続き、キーボードを多用したバラードの多いアルバム。「オープン」以降は別の個性を持ったバンドになったと認識してもよい。ギターが2人でキーボードがいないバンドとは思えない。メロディーはデビュー以来ずっと高品質。バラードが多くてもメロディーが良ければアルバムの質はまったく落ちない。アルバムタイトル曲の構成はすばらしい。「テイク・イット・イージー」はデュラン・デュランのカバー。

ONE LIFE,ONE SOUL

2002年。バラード集。メロディーメーカーのみに許される企画盤。

6
HUMAN ZOO

2003年。前作と同路線。もはやハードロックではなくバラードバンドと言ってよい。このアルバムはカバーがない。

ONE TEAM,ONE SPIRIT

2004年。ベスト盤。新曲4曲収録。

7
LIPSERVICE

2005年。ハードな曲を含み、デビュー当時のロックン・ロールの勢いを若干取り戻している。しかしハードな曲でも、「ライド・オン」のような快活さよりはメロディアスなハードロックというサウンドで、「オープン」以降の路線を崩していない。「リフト’ユー’アップ」はゲイリー・グリッターの「ロックン・ロール・パート2」を意識したサウンド。

MADE IN SWITZERLAND: LIVE IN ZURICH

2006年。ライブ盤。2枚組。

8
DOMINO EFFECT

2007年。バラードが多い。とはいえ、「オープン」や「ホームラン」のころよりはハード。デビュー当時とまではいかない。勢いのあるハードロックが大半を占めるようなアルバムにそろそろ戻ってほしいところだ。「ヒール・ミー」「ナウ」はデビュー当時の曲調。

THE CALL

2007年。シングル盤。

9
NEED TO BELIEVE

2009年。「シャングリ・ラ」はゴットハードとしては異色のオープニング曲で、ディープ・パープルの「パーフェクト・ストレンジャーズ」を思わせる。2曲目から「リップサーヴィス」以降のサウンドに戻る。ロックン・ロールや明るめの曲があると初期のころに戻ったと言えるが、まだそこまではいっていない。「ライト・フロム・ロング」は間奏で盛り上がる曲。

 
CHINA/CHINA

1988年。邦題「ワン・ショット・トゥ・ザ・ハート」。スイス出身のハードロック・バンド。ギター2人の5人編成。キーボードも必要に応じて使う。ボーカルは高音だが、かなりの部分が多重録音になっている。世界中のハードロック・バンドがアメリカのヘアメタル、MTVロックを目指していた中で、このバンドもそうしたバンドのひとつとして数えられる。曲は明るく、ノリもよい。スイスから出てきたという点では珍しいが、それに次ぐ特徴が見出しにくい。「バック・トゥ・ユー」はクロークスのフェルナンド・フォン・アーブが作曲している。「シャウト・イット・アウト」「ロック・シティ」収録。

 
SIGN IN THE SKY/CHINA

1989年。ボーカルとベースが交代。ボーカルはフォリナーのルー・グラムに似た声で、ヨーロッパにはあまりいない大陸的なボーカルだ。ボーカルの声がやや低くなったことで、コーラスも低めに合わせている。220VOLTの「アイ・トゥ・アイ」に近い雰囲気。このアルバムが代表作。

 
LIVE/CHINA

1991年。邦題「狂熱のライヴ・イン・ヨーロッパ」。6曲入り。日本盤は「シャウト・イット・アウト」の別のライブ・バージョンも収録されている。ライブではキーボード奏者もゲストで参加している。MCや観客との掛け合いまで収録したいいライブ盤だ。「プラウド・メアリー」はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのカバー。

 
GO ALL THE WAY/CHINA

1991年。アメリカで受け入れられるサウンドを目指しているのは変わらないが、サウンドの中身は変わっている。ヘアメタルのノリは少なくなり、ブルースやロックン・ロールを取り入れた。肩に力を入れず、ミドルテンポで弾き語るように歌う、いわゆる「レイド・バック」したサウンドだ。全体的収録曲数も時間もCDサイズになり、15曲で58分。