MIKA

MIKA(ミーカ)はイギリス出身のシンガー・ソングライター。ファルセットを使った音域の広いボーカルで、曲は明るく前向き。ポップを絵に描いたようなサウンド。

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LIFE IN CARTOON MOTION

2007年。MIKA(ミーカ)はピアノのシンガー・ソングライター。イギリス出身。ファルセットを使いながら広い音域のメロディーを歌う。ソウルやゴスペルにも影響を受けたらしく、バックに出てくるコーラスも多彩だ。ポップで明るい曲も多いため、シンガー・ソングライターにありがちな内省的イメージがない。ジャケットの楽しさをそのままサウンドに反映させており、メロディーも覚えやすい。ポップスの名盤。「グレース・ケリー」「ロリポップ」「ハッピー・エンディング」はすばらしい。半分以上の曲を単独で作曲している。「イレイス」はデスモンド・チャイルドと共作。

 
HAPPY ENDING

2007年。シングル盤。ピアノ中心のバラード。最後は短めのゴスペル・コーラスが入る。「グレース・ケリー」はアコースティック・バージョンで、ピアノだけの伴奏。「ハッピー・エンディング(クリアアップ・ミックス)」はゴスペル・コーラスとリズムマシンによるリミックス。

 
BIG GIRL(YOU ARE BEAUTIFUL)

2007年。シングル盤。「スウィート・ドリームズ」はユーリズミックスのカバー。「インスタント・マーター」はピアノの弾き語りで、最後はビートルズの「ヒア・カムズ・サ・ザン」を挿入していると思われる。

 
RELAX,TAKE IT EASY

2007年。シングル盤。5曲入り。「リラックス(テイク・イット・イージー)」はアルバムとはバージョン違い。「ロリポップ」はライブ。「帰ってほしいの」はジャクソン5のカバー。ボーカルのほとんどをファルセットで歌う。

 
RELAX,TAKE IT EASY

2007年。シングル盤。2曲入り。「リラックス(テイク・イット・イージー)」はアルバムとはバージョン違いで、5曲入りシングル盤とも異なるバージョン。「ロリポップ」はアルバム収録曲と同じ。

2
THE BOY WHO KNEW TOO MUCH

2009年。オープニング曲からとてもポップできらびやかだ。サビはベリンダ・カーライルの「ヘヴン・イズ・オン・ア・プレイス・オン・アース」に似ていて、一度聞いただけで覚えられる。「Dr.ジョン」は実在のアーティストを歌った曲ではない。「グッド・ゴーン・ガール」は声の音域の広さを活かした曲。アルバム後半になると静かな曲が増える。デビュー時には特殊な生い立ちの説明が目立ったが、2枚目ともなると曲のよさが十分浸透し、生い立ちの説明が不要になっている。

3
THE ORIGIN OF LOVE

2012年。デビュー当初に比べれば楽器の数や重ね方で簡素化されているが、それはアレンジが単純になっているわけではない。オープニング曲の「オリジン・オブ・ラヴ」は加工した厚いコーラスがポップな懐かしさとエレクトロニクスの新しさを感じさせる。「スターダスト」「ラヴ・ユー・ホエン・アイム・ドランク」などは声域の広さ、覚えやすいメロディー、聞き手を選ばないサウンドで普遍性の高いポップスとなっている。

SONGBOOK VOL.1

2013年。ベスト盤。15曲収録。アルバム収録曲と編曲が異なるのは「スターダスト」「オリジン・オブ・ラヴ」「ポピュラー・ソング」「ハッピー・エンディング」。「オリジン・オブ・ラヴ」はアルバムよりもあっさりしている。「リヴ・ユア・ライフ」「キック・アス」はアルバム未収録曲。「グレース・ケリー」「グッド・ゴーン・ガール」「ラヴ・ユー・ホエン・アイム・ドランク」が入っていてもよかった。日本盤は出ていない。

4
NO PLACE IN HEAVEN

2015年。エレクトロニクスを多く含んだ前作から揺り戻し、アコースティックギターやピアノを多用するバンドサウンドになっている。前作の「オリジン・オブ・ラヴ」「ラヴ・ユー・ホエン・アイム・ドランク」のような突き抜けたボーカルメロディーがないので、全体として落ち着きすぎた印象を与える。これまでのアルバムが音楽の方向として外に向かっていたのが、このアルバムでは内向きにコントロールされたサウンドだ。開放的な歓喜から内省的安寧に変化している。聴き方によっては現代のソフトロックとも言えるので、このサウンドの方がいいという人は少なからずいるだろう。

MIKA ET L'ORCHESTRE SYMPHONIQUE DE MONTREAL

2016年。ライブ盤。モントリオール交響楽団と協演し、バンド演奏ではない。モントリオール交響楽団はフランス系オーケストラではパリ管弦楽団に並ぶトップクラスの楽団で、アメリカを含む北米全体でも有数の楽団。ポップスのアーティストがオーケストラと協演することは、それ自体が多分に権威志向だ。ポップスを別の表現形式で演奏するならジャズバンドでもファンクバンドでも前衛音楽家でも可能で、そこをオーケストラにするところが無意識の志向だ。コーラスが厚い曲は合唱団ではなく通常のコーラスグループが参加する。「ラヴ・トゥデイ」「エル・ム・デイ」は打楽器がドラムの代役となっている。オーケストラがポップスを演奏する場合、管楽器が大きくなり、弦楽器の編曲が貧弱になる傾向があるが、このライブもそうなっている。ただ、これはミキシングの問題かもしれない。選曲はベスト盤に近い。録音していることが影響しているのか、ボーカルはうまく歌おうとして迫力や思い切りに欠けるところもあるが、ほとんどの部分は期待通りだ。

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MY NAME IS MICHAEL HOLBROOK

2019年。「ザ・ボーイ・フー・ニュー・トゥー・マッチ」と「オリジン・オブ・ラヴ」の間にあるような曲調。ソウルやヒップホップ、エレクトロ音楽に近づかずにポップさを押し出すのは案外難しい。シンセサイザー中心だがストリングス、ボーカルハーモニーを適宜使う。バンドサウンドであっても参照先は60年代のポップスなので、ロックという印象はない。アルバムの最初と最後は4分台で、それ以外は2、3分台。曲をうまく接続して6、7分にしてもよかった。「レディ・トゥ・コール・ディス・ラヴ」は男性シンガー・ソングライターとデュエット。