MISSY ELLIOTT

  • ヒップホップ・アーティストでは世界で最も有名な女性の1人。
  • 代表作は「スパ・ドゥパ・フライ」「アンダー・コンストラクション」。

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SUPA DUPA FLY

1997年。アメリカのアフリカ系女性ヒップホップ歌手。現在、ヒップホップの一線で活躍する女性としてはリル・キムとミッシー・エリオットが双璧となっている。ミッシー・エリオットの人気は事実上、プロデューサーのティンバランドによるところが大きい。ティンバランドは1996年、アリーヤの「ワン・イン・ア・ミリオン」で革新的なサウンドを作り、90年代後半以降最も注目を浴びているプロデューサーの1人である。シンコペーションが効いたハイハット(またはシェイカー)を多用し、日本でいう「チキチキ・サウンド」で有名になった。アメリカではウォール・オブ・サウンドのフィル・スペクターやサイケデリック・ソウルのノーマン・ウィットフィールドと同等の才能を持つプロデューサーと認識されることもあるが、日本ではまだそこまでの認知度はない。ミッシー・エリオットは100万枚以上売れたアルバムが6枚(スタジオ録音のすべて)あり、2007年現在、女性ヒップホップ・アーティストのトップと言ってよい。女性としてはやや低い声。アルバムの最初と最後にバスタ・ライムスのしゃべりが入る。「ザ・レイン(スゥパ・ドゥパ・フライ)」「ビープ・ミー911」収録。「ヒット・エム・ウィト・ダ・ヒィー」はリル・キムが参加。「ベスト・フレンズ」はアリーヤが参加。ティンバランドは複数の曲で参加している。「ソック・イット・トゥ・ミー」はデルフォニックスの「レディ・オア・ノット・ヒア・アイ・カム」、「ザ・レイン(スゥパ・ドゥパ・フライ)」はアン・ピープルズの「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」、「ホワイ・ユー・ハート・ミー」はエディ・フロイドの「チェック・ミー・アウト」をサンプリング。

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DA REAL WORLD

1999年。オープニング曲の「ミステリアス(イントロ)」や曲の背後でストリングスが多く使われ、近未来の不穏な雰囲気を表現している。ジャケットの黒の多さがそのままサウンドの雰囲気となっている。ゲスト参加に大物が多くなり、エミネム、アウトキャスト、アリーヤ、リル・キム、ビヨンセ、レッドマンと共演している。これらのアーティストはそれぞれが単独で数百万枚を売り上げるような人であり、そうした人が他人のアルバムに頻繁に参加するのがヒップホップの特徴である。「バサ・ライム」はボーカル・メロディーがワイルドチェリーの「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」になっている。

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MISS E...SO ADDICTIVE

2001年。ジャケットは近未来風だがサウンドはオーソドックスなヒップホップ。イントロに日本語が入り、三味線のような反復音でリズムを刻む「ゲッチュア・フリーク・オン」が話題になった。しゃべっているのは日本人らしく、「これから皆でめちゃくちゃ踊って騒ごう騒ごう」と聞こえる。「4・マイ・ピープル」はヒップホップというよりはダンス音楽だ。サンプリングを使っていないというのも特徴で、ミッシー・エリオットとティンバランドがすべてを作曲していることになる。エミネムやビヨンセといった大スターは参加していないが、リュダクリス、バスタ・ライムス、ウータン・クランのレッド・マン、メソッド・マンが参加している。

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UNDER CONSTRUCTION

2002年。80年代半ばのヒップホップをオールドスクール・ヒップホップと呼ぶが、そのイメージをジャケットにもサウンドにも使っている。「ワーク・イット」はスクラッチを使う。「ワーク・イット(リミックス)」はランDMCを意識した編曲か。使われる音も楽器の音が多く、電子音は少ない。ジェイ・Z、ビヨンセ、TLC、リュダクリス、50セントなど参加。

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THIS IS NOT A TEST!

2003年。イントロとアウトロをメアリー・J・ブライジがやっている。これまでのアルバムに比べればサウンド上の特徴がそれほど大きくない。オーソドックスとも言える。エレファント・マン、R.ケリー、ジェイ・Zなどが参加。「トイズ・インタールード/トイズ」の「トイズ」はスティービー・ワンダーの「迷信」を意識したキーボードだ。70年代ソウルのようなストリングスが乗る。

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THE COOKBOOK

2005年。「アンダー・コンストラクション」よりさらにオールド・スクールに傾いたサウンド。「マイ・ストラグルス」「オン&オン」はスクラッチを多用。「マイ・ストラグルス」はメアリー・J・ブライジとブランド・ヌビアンのグランド・プーバが参加している。「イレジスティブル・デリシャス」はスリック・リックが参加、ビースティー・ボーイズのようなサウンド。「ウィ・ラン・ディス」はシュガーヒル・ギャングの「アパッチ」をサンプリング。ノリのいい曲だ。「バッド・マン」はパーカッションが高揚感を煽るいい曲で、アルバムの最後に置いたのはいい判断。「ルーズ・コントロール」収録。

 
RESPECT M.E.

2006年。ベスト盤。「4・マイ・ピープル」はベースメント・ジャックスがリミックス。これ以外の16曲はアルバム収録曲と同じ。