MUMFORD&SONS

  • イギリスのフォークグループ。ボーカル兼ギター、ギター兼バンジョー、キーボード、ベースの4人編成。ドラムはいない。
  • アメリカでも注目され、アルバム2枚は英米でヒットしている。3枚目でロック化している。

1
SIGH NO MORE

2009年。ギターはアコースティックギターで、バンジョーやマンドリンも使うことからカントリー、ブルーグラスの影響を受けたフォーク調サウンド。ブルーグラスにはないドラムが入り、明るい曲はないのでフリート・フォクシーズに近くなるが、バンジョーやマンドリンの量は多い。静かに曲が始まり、徐々に盛り上がっていく曲が多いのは、メロディーよりも構成に関心が向かうからとみられ、通常のロックバンドでもアート志向の強いバンドに多く見られる。全員がコーラスをとれるがフリート・フォクシーズより低めで、計ったような整合感による緊張感を生むほどではない。「ロール・アウェイ・ユア・ストーン」「アイ・ゲイヴ・ユー・オール」はドラムがどっしりと響く。「シスル&ウィーズ」はドラムがないと成り立たない。「リトル・ライオン・マン」収録。

2
BABEL

2012年。ボーカルが力強くなり、曲の強弱、緩急が大きくなった。アコースティックギターはエレキ・アコースティックギターを使うこともある。特に前半は出来がよく、ホーンセクションやキーボードがロック並みの音の厚みを作るのに貢献している。アート志向があった前作は感覚的刺激が(通俗的なロック、ポップスに比べて)小さく、どちらかと言えばインテリ大学生向けであったが、このアルバムでは強弱抑揚が大きくなり、中産階級や非インテリ大学生にも受け入れられやすいサウンドになった。ボーナストラックでサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」をカバーしている。「アイ・ウィル・ウェイト」「ラヴァー・オブ・ザ・ライト」「ウィスパーズ・イン・ザ・ダーク」収録。

3
WILDER MIND

2015年。ドラムを本格的に使い、アコースティックギターやバンジョーをあまり使わず、エレキギターとシンセサイザーを中心とするロックとなった。ギターはアコースティックの雰囲気を残しており、シンセサイザーは目立たないので、デビューからの連続性は保たれている。キーボードを使わない近年のコースドプレイ、というようなサウンドだ。イマジン・ドラゴンズとも比較できるだろう。このアルバムがデビュー盤であっても、サウンドの同時代性やメロディーのよさで注目すべきアーティストになっていたと考えられ、当初の2枚を含めてサウンドの幅が広がったと言える。

4
DELTA

2018年。内省性が強まり、抑制的というより諦観を帯びたメロディーだ。多くの曲は「僕」と「君」を中心に展開し、お互いに理解し得ない状況に「僕」が焦燥感を募らせる。取り返すことができない過去を思い出して痛みを確認するような曲では、それが創作といえども、精神が成熟していることを示す。歌詞の内容を反映し、曲調は全体的に陰影がある。アコースティック楽器を中心とするサウンドは変わらず、ドラムやパーカッションは一般的なバンドと同じように使われる。ボーカルはコールドプレイ、サウンドはフリート・フォクシーズ、アウスゲイルを思わせる。プロデューサーはアデル、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのポール・エプワース。