NIRVANA

  • 90年代アメリカのグランジの代表的バンド。
  • カート・コバーン(ボーカル、ギター)、クリス・ノヴォセリック(ベース)、デイヴ・グロール(ドラム)。
  • 90年代以降のロックの標準、参照元となり、「ネヴァーマインド」、とりわけ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」が80年代と90年代を切断する象徴的な曲となった。
  • 80年代の華美で(下品な)ヘアメタル、MTVロックの反動とともに語られることが多い。
  • 94年にカート・コバーンが自殺して活動停止。デイヴ・グロールはフー・ファイターズを結成した。

1
"BLEACH"

1989年。ボーカル兼ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成。中心人物はボーカル兼ギターのカート・コバーン。もう1人のギターは演奏にほとんど関与していないという。アメリカ・シアトル出身。やや60年代末のガレージ・サウンドを帯びているが、演奏は力まかせであったり、勢いにまかせていたりはしていない。80年代末としてはヘビーメタルの影響をあまり受けていないような音で、当時の王道(ハードロック、ヘアスプレー・メタル、ヘビーメタル)ではないサウンド。ロックン・ロールでもなく、ブルースでもないところが新しかったのかもしれないが、当時は注目されず、珍しいというより未成熟と受け取られたような感がある。「ラヴ・バズ」はショッキング・ブルーのカバー。日本盤は1992年発売。「スクール」「ネガティヴ・クリープ」「ダウナー」収録。「ネヴァーマインド」発売後に全米89位。

2
NEVERMIND

1991年。ギターが抜け、ドラムが交代。3人編成。ドラムはデイヴ・グロール。曲のアイデアが増え、激しさも加わった。このアルバムが世界的に売れ、グランジ・ロックというジャンルを作り出した。「オン・ア・ブレイン」のような明るめの曲もあり、コーラスも頻繁に使う。前作と同様にベースがすばらしい。「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」が大ヒット。「カム・アズ・ユー・アー」「リチウム」収録。全米1位、1000万枚。「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は6位、「カム・アズ・ユー・アー」は52位。

SMELLS LIKE TEEN SPIRIT

1991年。シングル盤。タイトル曲はエディットバージョン。「イーヴン・イン・ヒズ・ユース」「アニューリズム」収録。「アニューリズム」は「インセスティサイド」に収録されている。

 
LITHIUM

1992年。シングル盤。「カーマジョン」収録。

 
IN BLOOM

1992年。シングル盤。「シルヴァー」「ポリー」はライブ。

 
HORMOANING

1992年。来日に伴う企画盤。「ターンアラウンド」はディーヴォ、「サン・オブ・ア・ガン」と「モーリーズ・リップス」はヴァセリンズ、「D-7」はワイパーズのカバー。

HORMOANING

1992年。オーストラリア盤。

 
INCESTICIDE

1992年。日本とオーストラリアだけで出ていた「ホルモウニング」を発売中止にして、「ホルモウニング」の収録曲のうち4曲を含めた企画盤。シングルのB面や軽いセッション等も含む。「エアロ・ツェッペリン」はエアロスミスやレッド・ツェッペリンの曲をやっているわけではない。「ヘアスプレイ・クイーン」もクイーンの曲ではない。全米39位。

3
IN UTERO

1993年。「ネヴァーマインド」に比べてハードで、ギターの荒々しさ、メロディーの不安定さ、自暴自棄的なボーカルが際だっている。カート・コバーンだけ荒れているように聞こえるが、メロディー楽器を一人で担当する者が荒れても、崩れた感じがしないのはベースとドラムが安定しているからである。全米1位、500万枚。

 
HEART-SHAPED BOX

1993年。シングル盤。「マリゴールド」収録。

 
ALL APOLOGIES

1993年。シングル盤。「モイスト・ヴァギナ」収録。日本盤は1994年発売。

 
MTV UNPLUGGED IN NEW YORK

1994年。カート・コバーンの死後発売。1993年のライブ。14曲のうち6曲がカバー。このうちオリジナル作品の知名度が高いのはデビッド・ボウイの「世界を売った男」。全米1位、500万枚。

 
FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH

1996年。1989年から1994年までのライブ。カバー曲はない。全米1位、500万枚。

NIRVANA

2002年。ベスト盤。

WITH THE LIGHTS OUT

2004年。ボックス・セット。CD3枚、DVD1枚。

LIVE AT READING

2010年。ライブ盤。1992年の録音。裏ジャケットには「コンプリート・セットリスト」と書かれているので、全曲を収録したとみられる。78分収録されているので、曲間やMCは多少カットされているだろう。そうならば、曲が連続で演奏されることによって勢いが増幅され前半のハイライトは「イン・ブルーム」「カム・アズ・ユー・アー」「リチウム」の連続演奏。「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は最後の演奏曲ではなく、バンドにとっては数ある曲の中の一つというメッセージが読み取れる。アンコールの最後はアメリカ国歌を弾いている。