P.J.HARVEY

  • PJ・ハーヴェイはポーリー・ジーン・ハーヴェイを中心とする3人組。イギリス出身。
  • 女性の性的欲動を隠さない「リッド・オブ・ミー」は、90年代の女性ロックアーティストの代表作となっている。
  • 近年は内省的なサウンド。

1
DRY

1992年。グランジ全盛期に出たアルバム。ほぼギター、ベース、ドラムだけの演奏で、グランジと同じく装飾が少ない。売れるような小細工をすると途端につまらなくなると推測できる。できるだけ生々しさ、危うさを含んだ不安定な演奏が、若い世代の気分を反映していると思われる。「シーラ・ナ・ギグ」収録。日本盤は1995年発売。

2
RID OF ME

1993年。衝動をサウンドにぶつけ、音が大きい部分と小さい部分のめりはりがついている。一般に、このアルバムはPJ・ハーヴェイの女性としての欲動を隠さずに表したという点で評価され、代表作となっている。日本盤には歌詞が掲載されていないので歌詞は分かりにくい。「追憶のハイウェイ61」はボブ・ディランのカバー。このアルバムで日本デビュー。

 
4-TRACK DEMOS

1993年。邦題「裏リッド・オブ・ミー」。14曲のうち6曲は「リッド・オブ・ミー」に収録されている曲のデモ・バージョン。ほとんどの曲がギターとボーカルだけで、成形する前の状態が収録されているようだ。ボーカルの絶叫が無修正の欲動を感じさせる。

3
TO BRING YOU MY LOVE

1995年。このアルバムからPJ・ハーヴェイのソロアルバムとなっている。主にオルガン、ボーカルを務め、ギター、ドラムはプロデューサーのジョン・パリッシュが演奏している。荒々しさと生々しさが、グランジの武骨な

 
DANCE HALL AT LOUSE POINT/JOHN PARISH AND POLLY JEAN HARVEY

1996年。ジョン・パリッシュが作曲し、PJ・ハーヴェイが歌詞を付けて歌う。ジョン・パリッシュはギターとドラムを演奏し、ベース、オルガンはミック・ハーヴェイが演奏している。ギターとパーカッションによる演奏が多く、多分に実験的で、ジョン・パリッシュのアルバムといってもよい。「アーン・ウィズ・デッド・フラワーズ・イン・ア・ドレインド・プール」「ヒーラ」「ロスト・ファン・ゾーン」はロック。日本盤のインナースリーブは曲の表記ミスがある。

4
IS THIS DESIRE?

1998年。初めて歌詞がブックレットに表記されている。キーボードが増え、エレクトロニクスが使われるようになった。ギター中心ではないサウンドになり、ボーカルも叫ぶことが少なくなった。全体が制御されている。抑えられたボーカルがかえって情感の密度を濃くしている。

5
STORIES FROM THE CITY,STORIES FROM THE SEA

2000年。ロックバンドの中のPJ・ハーヴェイとなり、濁りの少ないギターと張りのあるボーカルが都市(シティー)を感じさせる。ギターの弾き語りに近いような曲はこれまでのPJ・ハーヴェイのイメージに近く、海(シー)、すなわち女であることを感じさせる。ボーカルにリズム感が出てきた。レディオヘッドのトム・ヨークが3曲にボーカルで参加しており、「ディス・メス・ウィア・シン」ではメーンボーカルを取る。PJ・ハーヴェイは語りを含むバックボーカルを取る。

6
UH HUH HER

2004年。ドラム以外はPJ・ハーヴェイが演奏している。「トゥ・ブリング・ユー・マイ・ラヴ」以前のサウンドに戻った。使われる楽器の数が少ないので、多くの曲は弾き語りになっている。短い曲は1分程度、長くても4分半。「ザ・レター」はレディオヘッドのような雰囲気。

7
WHITE CHALK

2007年。アルバムを出すたびにサウンドを変え、今回はピアノを中心とするシンガー・ソングライター風。内にこもるサウンドで、暗く孤独だ。

 
A WOMAN A MAN WALKED BY/JOHN PARISH AND POLLY JEAN HARVEY

2009年。

8
LET ENGLAND SHAKE

2011年。ピアノとアコースティックギター、高い声で構成する。初めてPJ・ハーヴェイがジャケットに写らなくなり、歌詞がイギリスや地球に関する詞になった。内省的につぶやくような歌い方はなく、これまでのPJ・ハーヴェイにはなかった夢想的な声だ。