PORTISHEAD

  • キーボード、プログラミング等のジェフ・バーロウと女性ボーカルのベス・ギボンズを中心とするグループ。イギリス出身。
  • マッシヴ・アタックとともにトリップ・ホップの代表的グループとされ、1990年代のイギリスのクラブミュージックで注目された。

1
DUMMY

1994年。ヒップホップのスクラッチをメーンにしたミドルテンポのリズムに抑制的なメロディーを乗せ、深夜にラジオで聞くような女性ボーカルが歌う。ドラムやキーボードを使うものの、ギターはほとんど使われず、ベースはキーボードやプログラミングで代用されている。マッシヴ・アタックのサウンドをヒップホップ寄りに、かつソウル風ジャズ寄りにしたような、これまでないエレクトロ音楽と言える。「道」はキング・クリムゾンの「墓碑銘(エピタフ)」を思わせるストリングスだ。「ナム」収録。

2
PORTISHEAD

1997年。バンドサウンドが強化され、ドラムやギターの角が立っている。音としてのノイズを明瞭に入れており、ボーカルは控えめさが薄くなった。「オール・マイン」「ハーフ・デイ・クロージング」「7ヶ月」などではボーカルが声の張りを強めている。オープニング曲の「カウボーイズ」や「オール・マイン」は前作の雰囲気を受け継ぎながら各楽器の鋭さを増したロック寄りの曲。「ウェスタン・アイズ」「アンディナイド」「モーニング・エアー」はスクラッチとノイズが入ったジャズボーカルのアルバムとしても聞ける。ジェフ・バーロウの編曲とベス・ギボンズのボーカルの幅が両方ともよくなったことで、曲も多彩になった。

ROSELAND NYC LIVE

1998年。邦題「PNYC~ライヴ・イン・ニューヨーク」。ライブ盤。オーケストラとともに録音しているが、特定のオーケストラと協演しているのではなく、一時的に集まった演奏者と協演している。したがって協演すること自体を目的としており、オーケストラの演奏レベルには関心がないようだ。ジェフ・バーロウとベス・ギボンズのほか、ギター、ベース、ドラム、キーボードも加わっているのでバンドとオーケストラの協演となっている。オーケストラの音はメロディー楽器の補完のような立場で、バンド演奏がメーンだ。やや暗めの雰囲気は変わらない。バンド演奏はスタジオ録音よりも力強さが加わるが、スタジオ録音からは大きく逸脱していない。ポピュラー音楽とオーケストラとの協演自体は全然珍しくなく、それをやってみたというだけの記録に終わっている。

3
THIRD

2008年。ギターが加入。ヒップホップのスクラッチが大幅に減り、エレクトロニクスとバンドサウンドが中心となっている。「ハンター」「スモール」などはささやくようなボーカルで歌われ、「サイレンス」「ウィ・キャリー・オン」はビョークにも似た雰囲気がある。「マシン・ガン」はリズムが強力だ。「スモール」の後半は60年代後半から70年代前半のサイケデリックロックのような音になる。