PROCOL HARUM

  • イギリスのロックバンド。作詞専任を含め6人編成。1967年の「青い影」が世界的に有名。
  • ボーカル兼ピアノのゲイリー・ブルッカー、オルガンのマシュー・フィッシャー、ギターのロビン・トロワーが中心。
  • オルガン、ピアノを使ったクラシック調のロック。プログレッシブ・ロックの名作を次々に出した。
  • 1977年に解散し、1991年に再結成。

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PROCOL HARUM

1968年。邦題「青い影」。タイトル曲の大ヒットで急遽作られたアルバム。「青い影」がバッハのカンタータ第14番「ああ、愛しきキリストの徒よ、雄々しかれ」を下敷きに作られていることは有名だが、「ヴァルプルギスの後悔」もバッハの平均律クラビーア曲集第一番が使われている。ゲイリー・ブルッカーの深みのあるボーカルとマシュー・フィッシャーのオルガンがサウンドの核。ゲイリー・ブルッカーはピアノも弾き、ダブル・キーボードの曲が多い。「征服者」「カレイドスコープ(万華鏡)」収録。

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SHINE ON BIRTHDAY

1969年。邦題「月の光」。初期の傑作。特に17分、5部構成の「神秘なる東洋の世界」はプログレッシブ・ロックの傑作として評価が高い。60年代後半から70年代初頭にかけて、ビートルズのジョージ・ハリソンやイエスのジョン・アンダーソン、キャット・スティーブンスなどのアーティストが東洋思想に大きな影響を受けたが、この曲はダライ・ラマと巡礼者が生きることの意味について交わした問答をもとに、マシュー・フィッシャーとゲイリー・ブルッカーが共作している。そうした背景があることを考慮すれば、曲の邦題は「イン・ヘルド・トゥワズ・イン・アイ」とすべきではなかった。ジャケットはアメリカと日本で異なる。ロビン・トロワーのギターの存在感が大きくなっている。

3
A SALTY DOG

1969年。全曲が3、4分のコンパクトな作りになっており。前作のような深い思考に基づいた作風ではない。ロビン・トロワーのギターが主導する曲があったり、オーケストレーションを導入した曲があったり、サウンド面で新しい試みがある。

4
HOME

1970年。マシュー・フィッシャーが脱退。ゲイリー・ブルッカーと歌詞のキース・リードを中心に制作された。ロビン・トロワーが作曲した2曲はギター中心のサウンド。「捕鯨物語」収録。詩は難解。

5
BROKEN BARRICADES

1971年。ロビン・トロワーのギターが主軸になっている。キーボードはこれまでのオルガン、ピアノ以外の音も入るようになった。

PROCOL HARUM LIVE IN CONCERT WITH THE EDMONTON SYMPHONY ORCHESTRA

1972年。ロビン・トロワーは脱退。オーケストラと共演を試みるロック・バンドは多数あるが、内容やヒットの度合いに関してこのアルバムに匹敵する作品はない。「神秘なる東洋の世界」を再現。

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GRAND HOTEL

1973年。後期の傑作。オーケストレーション、合唱隊入りという点では前作と同じ。ロックの中に貴族的気品をにじませた作品。松任谷由実が強い影響を受けているという。

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EXOTIC BIRDS AND FRUIT

1974年。邦題「異国の鳥と果物(幻想)」。ロック・バンドでありながら、ハードな曲があまり似合わない。クラシック風味はやや薄れている。ロックン・ロール寄り。オルガンの音も濁り気味で、ゲイリー・ブルッカーのボーカルとピアノだけでプロコル・ハルムということを確認できる。

8
PROCOL'S NINTH

1975年。ポップになった。それは、オルガン、ピアノ以外のキーボード・サウンドやホーン・セクションの導入に表れている。時流に追いついているとも言える。「エイト・デイズ・ア・ウィーク」はビートルズのカバー。

9
SOMETHING MAGIC

1977年。邦題「輪廻」。前作からまたプログレッシブ・ロック方面に回帰。キーボード奏者が加入し、ダブル・キーボード体制になっている。ロックン・ロール的要素が減り、質の高い曲で満たされた。B面は組曲になっている。コンセプトも曲も分かりやすい。逆に深淵さに欠けると思う人も出てくるだろう。

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THE PRODIGAL STRANGER

1991年。邦題「放蕩者達の絆」。再結成盤。オリジナル・メンバーだったドラムは他界。

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THE WELL’S ON FIRE

2003年。