BOB MARLEY&THE WAILERS

  • ボブ・マーリーは世界一有名なレゲエのアーティスト。ジャマイカ出身。1981年没。
  • ザ・ウェイラーズはボブ・マーリーが在籍したバンド、ボーカルグループ。ジャマイカからアメリカに渡り、闘争的な歌詞と言動でアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、その他非主流の人から支持された。
  • 「ライヴ」はライブ盤の名作として知られる。「アイ・ショット・ザ・シェリフ」はエリック・クラプトンがカバーして有名になった。
  • 代表曲は「アイ・ショット・ザ・シェリフ」「ウォー」「ルーツ、ロック、レゲエ」。

1
CATCH A FIRE

1973年。ボブ・マーリーを中心とするレゲエのバンド。ボブ・マーリーはボーカル兼ギター、ピーター・トッシュがキーボード、他はベース、ドラム、パーカッションの5人編成。ジャマイカ出身。レゲエの世界ではボブ・マーリーが全アーティストの頂点に立つ。ボブ・マーリーとピーター・トッシュが個別に作曲し、ピーター・トッシュはボーカルもとる。もともとコーラス・グループだったので、コーラスは随所に入るが、リズム&ブルースやゴスペルのようなコーラス・ハーモニーになっている。キーボードがメロディーを主導する曲が多く、ギターは一般にイメージされるロックほどハードではない。全曲がミドルテンポ。日本盤ボーナストラックの「ハイ・タイド・オア・ロウ・タイド」は名曲。

2
BURNIN'

1973年。パーカッションとキーボードが加入し7人編成。音はやや厚くなっている。「アイ・ショット・ザ・シェリフ」はエリック・クラプトンがカバーして有名になった。「ゲット・アップ、スタンド・アップ」収録。日本盤ボーナストラックの「ノー・シンパシー」はシンセサイザー使用。

3
NATTY DREAD

1974年。ボブ・マーリーとベース、ドラム以外の4人が抜け、ギターとキーボードが加入。5人編成。ホーン・セクションを取り入れ、女声コーラスも固定されたメンバーが編成されている。レゲエからファンクに近づいたが、リズムはレゲエなので、その特徴的な1点で個性を保っている。「ノー・ウーマン、ノー・クライ」収録。

 
LIVE!

1975年。ライブ盤。キーボードが交代し、パーカッションが加入。6人編成。女声コーラスは2人。イギリスでのライブ。ロック、ポップス全体の中でもライブ盤の名盤として挙げられ、ボブ・マーリーの最高傑作とする人も多い。

4
RASTAMAN VIBRATION

1976年。曲によってリード・ギターが入れ替わる。他のアルバムに比べて歌詞のメッセージ性が強く、戦争や社会の不条理について直接的な表現で書かれている。個人の身の回りの出来事や心情ばかりで固めて内省的になることはない。このアルバムの発売後、かつてボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバーして大ヒットしたエリック・クラプトンが、英国内の外国人排斥を主張する政治家を支持し、パンク、レゲエのを中心とするロック・ファンから強い嫌悪感を持たれる。この事件によって、ボブ・マーリーを聞くことのメッセージ性も大きくなった。「ルーツ、ロック、レゲエ」「ウォー」「ラット・レース」収録。

5
EXODUS

1977年。「ウェイティング・イン・ヴェイン」「3羽の小鳥」のサビは、これまでになかったようなメロディーで、「ウェイティング・イン・ヴェイン」ではサビがレゲエのリズムにならない。「ワン・ラヴ/ピープル・ゲット・レディ」の「ピープル・ゲット・レディ」は、ジェフ・ベック、ロッド・スチュワートのカバーで有名なカーティス・メイフィールドの曲。ロンドンで録音しているというが、それが原因でやや同時代的なのかどうかは分からない。「3羽の小鳥」のキーボードなどは、そういう解釈も可能。日本盤ボーナストラックで「パンキー・レゲエ・パーティー(ロング・バージョン)」収録。

6
KAYA

1978年。このアルバムのために録音された曲だけではなく、セッションの曲も含んでいる。この点だけでも説得力が落ちるが、サウンドも全体的におとなしくなり、ボブ・マーリーに反体制性や社会性を求める人にはやや刺激が薄い。日本盤ボーナストラックで「スマイル・ジャマイカ」収録。

 
BABYLON BY BUS

1978年。ライブ盤。キーボードがもう1人加入し、クラビネット担当になっている。どれも有名曲で、「ラスタマン・ヴァイブレーション」から「カヤ」までのベスト盤のような選曲。メロディー楽器のソロプレイと女声コーラス隊がすばらしい。

7
SURVIVAL

1979年。全曲がかつての強いメッセージを含み、特にアフリカについての曲が多い。ジャケットに描かれているのはアフリカ諸国の国旗。サウンドもホーン・セクションが多くなり、パーカッションの音の数も増えた。楽器奏者の7人のうち5人はパーカッションも兼任しており、これがアフリカとの関連性を深くしている。「ジンバブエ」「アフリカ・ユナイト」収録。

8
UPRISING

1980年。このころ流行していたアダルト・オリエンテッド・ロックにヒントを得たサウンド。女声コーラスは明らかにアダルト・オリエンテッド・ロックもしくは70年代後半のソウルに見られる都会的な雰囲気がある。「クッドユー・ビー・ラヴド」はディスコにも通じるモダンなサウンド。「リデンプション・ソング」はギターの弾き語り。ボブ・マーリーはこのアルバムを出した後病死。明らかに趣の異なるアルバム。

9
CONFRONTATION

1983年。ボブ・マーリーの死後に出た未発表曲集。1978年から1980年までに録音された曲。オルガンやピアノではなくシンセサイザーの音が入る曲もあり、「アップライジング」のサウンドに近い。「ブラックマン・リデンプション」収録。

AFRICA UNITE:THE SINGLES COLLECTION

2005年。シングル曲を集めた企画盤。「アフリカ・ユナイト」はブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムがリミックスしている。「スローガンズ」は未発表曲にエリック・クラプトンがギターを加えた曲。