CACUMEN/BONFIRE

  • ボンファイアはドイツのハードロックバンド。カクメンはその前身バンド。
  • クラウス・リースマン(ボーカル)、ハンス・ジラー(ギター)を中心とする。
  • 1980年代にデビューし、ボンファイアとなってからはアメリカのヘアメタル・ブームに対応したサウンドで人気を得た。
  • 80年代のアメリカの若い白人の感性を2000年代以降も持ち続けるが、加齢による教養や内面を重視するドイツ人の支持は伸びない。
  • 代表作は「ファイアワークス」。

 
CACUMEN/CACUMEN

1981年。ギター2人の5人編成。ボーカルとギターがのちにボンファイアを結成。当時のアクセプトやスコーピオンズのように、明るくならないハードロック。しかし、アクセプトやスコーピオンズのように、聞き手を引きつけるようなメロディーに至らない。ポップでも大仰でも、なにか核になる曲がほしい。

 
BAD WIDOW/CACUMEN

1983年。前作から大きく飛躍し、ハードになった。メロディーも分かりやすくなり、一気にあかぬけた。

 
DOWN TO HELL/CACUMEN

1984年。もともとは4曲入り。「ロンギング・フォー・ユー」「ノーモア」はボンファイアの「禁断の炎」にも収録されている。曲はボンファイアと同等の質を持っており、「アイ・スティル・ニード・ユー」はシングルでも売れそうなすばらしい曲。このレベルまでくると、スコーピオンズと似ていることが明らかになり、スコーピオンズの偉大さが分かる。

1
DON'T TOUCH THE LIGHT

1986年。邦題「禁断の炎」。ギター2人の5人組。スコーピオンズとマグナムを足したようなサウンド。アメリカでも受けそうなオーソドックスなハードロックだが、ボーカルがマグナム同様、ヨーロッパ特有の湿り気を帯びている。

2
FIRE WORKS

1987年。アメリカでレコーディングし、マイケル・ワグナーがプロデュース。同時代のアメリカのハードロックと比較しても質は十分上にくるほどの出来で、最高傑作とも言える。ドラムはハウス・オブ・ローズのケン・メリーがゲストで参加。キーボードも導入。「チャンピオン」「アメリカン・ナイツ」はシングル・ヒットも狙えそうないい曲。

3
POINT BLANC

1989年。ドラマーは元サクソン、ギターは元シナー、プリティ・メイズに交代。アメリカン・ハードロック路線は続く。ドイツのイメージを完全に消し、アメリカのバンドになりきろうとしたことが逆に個性を消した。デスモンド・チャイルド、ジャック・ポンティが作曲で参加。

 
AFTER THE FIRE/EZ LIVIN'

1991年。ボンファイアを抜けたギターのハンス・ジラーが結成。4人編成。曲の大半はハンス・ジラーとボンファイアのボーカルのクラウス・レスマンが作曲している。アメリカで流行していたハードロックをやっている。ボン・ジョヴィやデフ・レパードのようなサウンドではなく、ファイアハウス、スローターのようなサウンド。ややロックン・ロール寄り。ボーカルはボンファイアとは異なり、声が高い。クラウス・レスマンも参加。

4
KNOCK OUT

1991年。ロックン・ロール調の曲もある。ドイツのアメリカン・ロック。80年代にはつらつとしたアメリカのハードロック・バンドが90年代になってブルースやカントリータッチの土臭いロックをやるようになったのに呼応している。「ザ・ストローク」はビリー・スクワイアのカバー。

LIVE...THE BEST

1993年。解散後に出たライブとベスト。

GLAUB DRAN

1993年。ボーカルとギターが「LESSMANN/ZILLER」名義で出したアルバム。

5
FEELS LIKE COMIN' HOME

1996年。ボンファイアのアルバムといっても、正式なメンバーはボーカルとギターの「LESSMANN/ZILLER」組だけで、あとはゲスト・ミュージシャン。アコースティック・ギターを使う曲が多く、ロボの「片想いの僕」のカバーもある。カントリー・チャートに入ってもおかしくない。

FREUDENFEUER

1996年。「フィールズ・ライク・カミン・ホーム」のドイツ語バージョン。

HOT&SLOW

1997年。バラードのベスト。

6
REBEL SOUL

1998年。事実上、これが本格的な復活作。アメリカ民謡の「ディキシー」を取り上げている。エルヴィス・プレスリーの「アメリカン・トリロジー」に匹敵する名曲。しかし、この曲がアルバムで最も印象に残るというのは皮肉だ。メロディーそのものはいいが、ボーカルの声域の狭さが目立つような曲になっている。キャット・スティーブンスの「ザ・ファースト・カット・イズ・ザ・ディーペスト」をカバー。

7
FUEL TO THE FLAMES

1999年。前作とは変わり、いい曲が揃った。「スイート・ホーム・アラバマ」はレイナード・スキナードのカバー。ベートーベンの交響曲第9番の「歓喜の歌」もインストでカバーしている。ハードなアメリカン・ロック。「サムズ・アップ・フォー・ヨーロッパ」は欧州連合(EU)讃歌。

8
STRIKES X

2001年。前作と同路線。「ストライクス・バック」はナイト・レンジャーの「炎の彼方」を思い起こさせる。日本盤ボーナス・トラックは素晴らしい。

29 GOLDEN BULLETS

2002年。2枚組ベスト。

LIVE OVER EUROPE

2002年。ライブ盤。

9
FREE

2003年。

10
DOUBLE X

2006年。カバーなどはなく、全曲がロックン・ロールやハードロックになっている。サウンドに大きな変化はないが、デビューして20年も経つ割には歌詞が稚拙で、10代後半や20代前半のアーティストが狭い視野で書くような詩が多い。ラップが嫌いらしく、12曲のうち3曲もラップに言及している。表現も直接的で、暗喩などの知性が感じられない。中心人物であるボーカルとギターが作詞作曲をしているため、この路線は変わらないだろう。それこそラップを入れるなどしないと大きな飛躍は望めないというのは皮肉だ。アメリカン・ハードロックとしては難点がない。

11
THE RAUBER

2008年。ドイツの詩人、シラーの「群盗」を題材にしたアルバム。

12
BRANDED

2011年。