ETHOS/THE FLOCK/SPY

  • イーソスはアメリカのプログレッシブ・ハードロックバンド。シンセサイザー、ムーグの機能を存分に生かしたサウンド。
  • ザ・フロックはアメリカのロックバンド。バイオリン、サックス、トランペット奏者を含む7人編成。シカゴ出身なのでブラスロックの一派と捉えられる。
  • スパイはアメリカのプログレッシブ・ハードロックバンド。カンサスと同様、バイオリン奏者を含む6人編成。

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ARDOUR/ETHOS

1975年。邦題「熱情」。ボーカルがギターを兼任し、キーボードが2人いる5人組。シンセサイザーの機能を極限まで利用し、シンセサイザーにしか出せない音を組み込んだ。すなわち、シンセサイザーを鍵盤楽器とは考えず、キーボードとは根本的に異なる楽器であると認識したところにこのバンドの斬新さがある。それ以外のパートは普通のプログレッシブ・ロック。「ミュージック魂」は発表当時から日本では全国的に知られている。

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OPEN UP/ETHOS

1977年。キーボードが1人減り4人組に。前作と同路線。「マラソンII」のイントロはチャイコフスキー。「スタート・アニュー」はディキシー・ドレッグスのような音。「メモリーズ」はいかにもという近未来的な音が飛び交うイーソスの音。

 
RELICS/ETHOS

2000年。邦題「イーソスの遺産」。未発表曲集。「イントレピッド・トラベラー」はデビュー盤の「勇敢な旅人」のドラムとボーカルがないバージョン。シンセサイザーとギターのアレンジも違う。「ピンプ・シティー」はオリジナル・バージョンよりもベースが強調されており、シンセサイザーとギターのメロディー楽器が小さく聞こえる。イントロのSEもなし。隠しトラック1曲収録。

 
THE FLOCK/THE FLOCK

1969年。ボーカルがギターを兼任し、バイオリン、サックス2人、トランペット奏者がいる7人組。ロックという言葉の意味に、外形的な意味と内面的な意味があり、この2つを満たしてさらに大きな反響を得たグループが偉大とたたえられる。ジャズ寄りのブラスロックで、バイオリンが入っているのがポイント。ブラッド・スウェット&ティアーズの音にバイオリンがプラスされてキーボードが引かれているサウンドを、斬新とするかどうかは聞き手の判断次第だが、アメリカのロックでは時代の先端の一つだった。

 
DINOSAUR SWAMPS/THE FLOCK

1970年。邦題「恐竜の棲む沼」。攻撃的な「クラブフット」からマイルドな「人魚」に続き、フロックにしてはポップな「ユーラニアン・サーカス」に至る流れはすばらしい。エンディングの女性コーラスが余韻を持たせる。緊張感や、一種の危なさを伴っていたデビュー盤に比べれば、演奏に余裕が感じられる。このアルバムの後、バイオリンのジェリー・グッドマンはマハヴィシュヌ・オーケストラに加入。

INSIDE OUT/THE FLOCK

1975年。バイオリンやホーン・セクションが抜け、バンド編成になった。

 
SPY/SPY

1980年。バイオリン奏者がいる6人組。カンサスを成功させたドン・カーシュナーがカーシュナー・レーベルからデビューさせたバンド。キーボードはスティクス風、「ラブズ・ゼア」のコーラスはニュー・イングランド風でもあるが、ボーカルに個性がないのと、ポップさがもう少し足りないのが響く。

INTERGALACTIC TROT/STARDRIVE

1973年。

 
STARDRIVE/STARDRIVE

1974年。シンセサイザー奏者を中心とする4人組。全曲インストで、シンセサイザー奏者はオルガンやピアノ、メロトロンを一切使わず、すべてシンセサイザーで演奏している。エマーソン・レイク&パーマーと比較されるのは必至で、実際、似ているところはある。ロックとフュージョンの間。音質は悪いがシンセサイザーの音圧がカバーしている。

 
BIGHORN/BIGHORN

1978年。キーボードを含む5人組。3人にボーカルのクレジットがあり、美しいコーラスを聞かせる。カナダ出身。キーボードはピアノ中心で、ストリングスもほどよく使用。オープニング曲のようなドラマチックな曲はコーラスやストリングス、ピアノでよりドラマチックにする技術を持っている。「スパロウ」のアレンジは素晴らしい。

 
FIGHTING ALONE/DIXON HOUSE BAND

1979年。キーボードのディクソン・ハウスを中心とする5人組で、ベースとドラムはビッグホーン出身。リズム・ギターは女性だが、特に演奏面で女性を感じさせるところはなく、「ラニン・スケアード」で男女ツイン・ボーカルの一方を担っているところを聞いて初めて女性であることを認識する。「サラセン・ライド」から「ザ・プロミス」に続くメドレーはドラマチックさとプログレッシブ・ロック的なメロディーの展開でだれもが感動する。