HEART

  • アン・ウィルソン、ナンシー・ウィルソンの姉妹を擁するアメリカのロックバンド。
  • アン・ウィルソンはボーカル、ナンシー・ウィルソンはギター。70年代後半と80年代後半に人気のピークがあった。
  • 70年代後半はハードロックで、「クレイジー・オン・ユー」「マジック・マン」「バラクーダ」がヒット。
  • 80年代後半はポップなロックで、「ジーズ・ドリームス」「アローン」がヒットしている。

1
DREAMBOAT ANNIE

1975年。ボーカルのアン・ウィルソン、ギターのナンシー・ウィルソンを中心とするバンド。ギター2人、ドラム不在の4人編成。アン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンがボーカルとコーラスをとるので、この姉妹がハートそのものだ。エレキ・ギターとアコースティック・ギターを同じような割合で使っているので、ハードロックという印象はない。アン・ウィルソンは男同様に力強く歌うこともあり、表現の幅が広い。「マジック・マン」「クレイジー・オン・ユー」がヒット。「クレイジー・オン・ユー」はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」に似たすばらしさ。「夢見るアニー」収録。全米7位。「クレイジー・オン・ユー」は35位、「マジック・マン」は9位、「夢見るアニー」は42位。

2
LITTLE QUEEN

1977年。ギター兼キーボードとドラムが加入し、ギター3人の6人編成。エレキ・ギターが多くなり、本格的ロックバンドとなった。「バラクーダ」は日本デビュー盤。日本盤ボーナストラックはレッド・ツェッペリンの「天国への階段」をカバーしているが、アン・ウィルソンのボーカルは中域でロバート・プラントそっくりだ。全米9位、300万枚。「バラクーダ」は11位、「リトル・クイーン」は62位、「キック・イット・アウト」は79位。

3
MAGAZINE

1977年。スタジオ録音が5曲、1973年録音が1曲、1975年のライブが2曲。オープニング曲の「ハートレス」は本格的にキーボードを導入。「ウィズアウト・ユー」はバッドフィンガー、ニルソンのカバー。「アイヴ・ガット・ザ・ミュージック・イン・ミー」はキキ・ディーの「歌は恋人」のカバー。1978年にボーカルを再録音するなどして再発売。全米17位。「ハートレス」は24位。

4
DOG&BUTTERFLY

1978年。オープニング曲はライブ。後半になるとアコースティック・ギターの曲が並ぶ。A面とB面で雰囲気を変えているが、A面がロックらしい。全米17位、200万枚。「ストレイト・オン」は15位、「ドッグ&バタフライ」は34位

5
BEBE LE STRANGE

1980年。ギターが1人抜け5人編成。これまでの路線を継承しながら、「イブン・イット・アップ」でホーン・セクションを導入するなど少しずつ新しい挑戦をしている。「レイズド・オン・ユー」はナンシー・ウィルソンがドラム以外の全楽器を演奏し、ボーカルもとっているという。全米5位。

 
GREATEST HITS/LIVE

1980年。邦題「ザ・グレイテスト・ストーリー」。15曲のうち5曲はライブ。アルバム未収録曲1曲。「テル・イット・ライク・イット・イズ」はアーロン・ネビル、「アイム・ダウン~ロング・トール・サリー」はビートルズ、「ロックンロール」はレッド・ツェッペリンのカバー。「全米13位、200万枚。「テル・イット・ライク・イット・イズ」は8位。

6
PRIVATE AUDITION

1982年。前作と同路線だがややマンネリ化してきたか。「炎の街」「走り去る時代」「ザ・シチュエイション」収録。全米25位。「ディス・マン・イズ・マイン」は33位。

7
PASSIONWORKS

1983年。ベースとドラムが交代。ベースはジョ・ジョ・ガン、ファイアフォールのマーク・アンデス、ドラムはモントローズ、ガンマのデニー・カーマッシ。TOTOのデビッド・ペイチ、スティーブ・ポーカロがキーボードで参加。ジャーニーのジョナサン・ケインも作曲で参加している。キーボードを大幅に取り入れ、ドラムは80年代ハードロックのようにメロディックタムが軽い。いわゆるヘアメタルのサウンドを相当早く実践している。イメージがあか抜けた。プロデューサーはキース・オルセン。全米39位。「誓いのハート・ビート」は44位、「アライズ」は10位。

8
HEART

1985年。メンバー以外の作曲が10曲中6曲となり、サウンドがギター中心からキーボード中心となった。シングルヒットしたのはすべてメンバー以外の作曲。これまであったアコースティック・ギターの曲はなく、多くがアップテンポ。見た目が重視されるような時代になって、ファッションも派手だ。プロデューサーはロン・ネビソン。全米1位、500万枚。「ホワット・アバウト・ラヴ」は10位、「ネヴァー」は4位、「ジーズ・ドリームス」は1位、「ナッシン・アット・オール」は10位、「イフ・ルックス・クッド・キル」は54位。

9
BAD ANIMALS

1987年。前作に続きキーボード主体のハードロック。10曲のうちメンバーは5曲にかかわっているが、いずれもメンバー以外との共作で、純粋にハートの自作曲と呼べる曲はない。プロデューサーはリッチー・ジトー。全米2位、300万枚。「アローン」は1位、「フー・ウィル・ラン・トゥ」は7位、「ゼアズ・ザ・ガール」は12位、「アイ・ウォント・ユー・ソー・バッド」は49位。

10
BRIGADE

1990年。ロバート・ジョン・マット・ランジ、アルバート・ハモンド、サミー・ヘイガー、ダイアン・ウォーレン等が作曲で参加。曲数が増えたので、いい曲はたくさんそろっているにもかかわらず、それぞれのインパクトが小さくなっている。ボン・ジョビのようなハードロックからポップスまで。全米3位、200万枚。「愛していたい」は2位、「恋におちる」は23位、「ストランデッド」は13位、「シークレット」は64位。

 
ROCK THE HOUSE LIVE!

1991年。ライブ盤。キーボードを大幅に導入した「パッションワークス」以降の曲がほとんどで、「リトル・クイーン」から2曲やっている。「マジック・マン」や「クレイジー・オン・ユー」はやっていない。「ユー・アー・ザ・ヴォイス」はリトル・リバー・バンドのジョン・ファーナムのカバー。全米107位。

11
DESIRE WALKS ON

1993年。ベースが交代。作曲の手法は同じだが、サウンドは大きくハードロックに傾き、キーボードの度合いは少ない。アン・ウィルソンの歌い方が力強くなり、声域を限界まで使っている。サウンド上の装飾をかなり取り除き、シンプルな感じだ。「ザ・ウーマン・イン・ミー」はドナ・サマー、「リング・ゼム・ベルズ」はボブ・ディランのカバー。全米48位。

 
THE ROAD HOME

1995年。過去のヒット曲のアコースティック・ライブ。ストリングス等が入る。「夢見るアニー」や「クレイジー・オン・ユー」「ドッグ・アンド・バタフライ」も演奏。プロデューサーはレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ。演奏にも参加している。「リヴァー」はジョニ・ミッチェル、「ラヴ・ハーツ」はナザレスのカバー。日本盤の解説にナザレスのカバーであることを書いていないのは不親切。ダニー・オズモンドをドニー・オズモンドと表記する翻訳者も間違いではないが難がある。全米87位。

 
GREATEST HITS

1997年。ベスト盤。「ロック・ザ・ハウス・ライヴ!!」や「ザ・ロード・ホーム」からも選曲されているが未発表曲等はない。全米131位。

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JUPITERS DARLING

2004年。アン・ウィルソンとナンシー・ウィルソン以外のメンバーを全員入れ替え、ギター2人、キーボードを含む6人編成。ベースはアリス・イン・チェインズのマイク・アイネズ。パール・ジャムのマイク・マクレディとアリス・イン・チェインズのジェリー・カントレルがギターで参加している。作曲は17曲のうち15曲がメンバーによる。残り2曲のうち1曲はメンバーの共作なので、ほぼメンバーのみによると考えてもよい。前作と同様、ギターを中心とし、キーボードは目立たない。アン・ウィルソンは声域を十分に使っている。アコースティック・ギターも多いので、事実上アン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンのデュオにサポートがついているような状態。

13
RED VELVET CAR

2010年。