THE POLYPHONIC SPREE

  • アメリカの多人数グループ。20人以上で構成され、男性ボーカルが中心人物となっている。
  • 女性コーラスがおおむね9人、ストリングスが4人いる。
  • ロック版の管弦楽団で、出せる音はすべて人間の演奏で出す方針のようだ。
  • 初期は浮遊感があり、サイケデリックだったが、徐々にポップ化している。

1
THE BEGINNING STAGES OF...

2003年。24、5人編成のバンド。アメリカ出身。ボーカルだけで10人いる。ギター、ベース、パーカッションが1人ずつで、残りは管楽器とキーボードが多い。中心人物は男声ボーカル。サウンドは管楽器とキーボードでメロディーを作る。ロックのイメージではなく、メンバー表記の中にもドラムがなくパーカッションだけというのは正確な書き方かもしれない。ストリングスは2人で、ゲスト・ミュージシャンとなっている。「ララ」「ハンギング・アラウンド・ザ・デイ・パート2」「ソルジャー・ガール」「ライト・アンド・デイ/リーチ・フォー・ザ・サン」はドラムが入る。サイケデリック・ロックの雰囲気ありあり。最後の「ア・ロング・デイ」は30分以上

2
TOGETHER WE'RE HEAVY

2004年。メンバー表記が21人になった。サウンドの基盤がバンドサウンドとなり、ボーカルもリード・ボーカルとコーラスが明確になっている。1曲目と最後の曲は前作の路線だが、2曲目からはバンドサウンドが続き、一般の洋楽ファンにも受け入れられやすくなった。一曲目は「ア・ロング・デイ・コンティニューズ/ウィ・サウンド・アメイズド」となっており、前作の最後の曲のタイトルを引き継いでいる。「ホールド・ミー・ナウ」「エヴリシング・スターツ・アット・ザ・シーム」は前向きな雰囲気。長い曲は8分から10あり、1曲目も8分。

 
THUMBSUCKER

2006年。映画のサウンドトラック。ポリフォニック・スプリーの中心人物であるティム・デラフターが作曲し、ポリフォニック・スプリーが演奏に参加している。多くの曲がアコースティック・サウンド。70分のうち30分は22曲目の「アクセプタンス」。後半の3曲にポリフォニック・スプリーそのままの曲が出てくる。

3
THE FRAGILE ARMY

2007年。前作に続き、1曲目のタイトルが前作の最後の曲を引き継いでいる。2曲目以降はロックで、サウンドもこれまでで最もハードだ。曲も親しみやすい。ほとんどの曲で女声コーラスがつく。「オーヴァーフロウ・ユア・ネスト」は前半がデビュー盤の雰囲気だが、後半はロック。メンバーの表記に初めてドラムが登場し、ギターも2人いる。弦楽器も3人が正式メンバーになり、ボーカルは10人。男女比はおおむね半々。ストリングス、ホーン・セクションともに3人以上になり、ロック・オーケストラの体裁になった。20人以上いるメンバーの中で最もロック寄りの嗜好を持つのはドラムのようだ。日本盤ボーナストラックではニルヴァーナの「リチウム」をカバーしている。キーボード、ストリングス、ホーン・セクションが入り、平和的な雰囲気だ。

 
LIVEFROMAUSTINTX

2007年。ライブ盤。2004年のライブなので曲は「ザ・ビギニング・ステージ・オブ...」と「トゥゲザー・ウィアー・ヘヴィー」から選曲されている。22人で演奏されていることになっている。歓声が大きくないので演奏しているときはスタジオ盤のような雰囲気を保つが、スタジオ盤に近いがゆえに粗も目立つ。10分を超える曲が2曲ある。もう少しロックバンド的演奏があってもよかった。

HOLIDAYDREAM

2012年。クリスマス曲のアルバム。27人で録音。前半はコーラスが少なく、ポリフォニック・スプリーのサウンドになってくるのは「ドゥ・ユー・ヒア・ホワット・アイ・ヒア」から。ジョン・レノン(プラスチック・オノ・バンド)の「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」をカバーしている。「シルヴァー・ベルズ」はスクール・オブ・セヴン・ベルズが参加している。

4
YES,IT'S TRUE

2013年。24人で録音。ドラムとパーカッションは1人ずつ、ギター2人、ベースは2人、管楽器6人、弦楽器3人、キーボードはギターとベースの1人が兼任。ボーカル兼ギターはエレクトロニクスやサンプリングも使う。曲の大部分はアナログ楽器を使い、時々聞こえるエレクトロニクスの響きと女性コーラスが雰囲気を決める。ボーカルはほとんどが男性ソロボーカルとなり、長い曲もないので聞きやすくなっている。人数を生かした音数の多い曲、コーラスが主体となる曲、あるいはポップな曲が1曲あればよかったが、そうした曲はない。