RIDE

  • マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジーザス&メリー・チェインに次ぐシューゲイザーの代表的バンドだが、シューゲイザーにあたるのはデビュー盤のみ。
  • 4人編成、イギリス出身。デビュー盤の「ノーホエア」がシューゲイザーの名盤として評価されている。

1
NOWHERE

1990年。シューゲイザーの音楽的特徴を備え、聞き取りやすさやポップさとのバランスを保っている。シューゲイザーとしてはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインよりも楽器の響きの明瞭さがあり、ボーカルをサウンドの一部ではなくボーカルとして聴かせる。曲の傾向やサウンドの幅に広がりがない若い時に作ったデビュー盤だからこそ、アルバム全体の統一が取れたとも言える。それが名盤の評価につながっている。

SMILE

1990年。「ノーホエア」の前に出していたEP盤2枚を1枚にまとめたCD。各EPの1曲目にあたる曲は高揚感のある曲だ。2枚目の方が質が高いか。

2
GOING BLANK AGAIN

1992年。キーボードを取り入れ、楽器の数を増やした。曲調も明るさを持つことが多い。ギターのディストーションは、シューゲイザーを意識すればそう聞こえるという程度になっている。「リーヴ・ゼム・オール・ビハインド」「タイム・オブ・ハー・タイム」、「クール・ユア・ブーツ」の後半などはシューゲイザーだ。「タイム・マシーン」はベースが目立つ。「ツイステレラ」「ノット・フェイズド」

3
CARNIVAL OF LIGHT

1994年。シューゲイザーのバンドと思われることを意図的に拒否したかのような、60年代から70年代のフォークロック、サイケデリックロックのサウンドとなった。ジャケットもサウンドもザ・バーズの「ミスター・タンブリン・マン」を意識したとみられる。オープニング曲のイントロのタンブーラや「ローリング・サンダー」は60年代の東洋趣味が出ている。「1000マイルズ」「ナチュラル・グレイス」はゼム、ザ・バーズ風。アコースティックギターとオルガンが多用され、オープニング曲の「ムーンライト・メディシン」はディープ・パープルのジョン・ロード、それ以外の曲はギターのアンディ・ベルがオルガンを弾いている。

COSMIC CARNIVAL

1994年。アルバム未収録曲を集めた企画盤。「アット・ジ・エンド・オブ・ユニバース」「レッツ・ゲット・ロスト」「ドント・レット・イット・ダイ」「ウォークアバウト」「ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ザ・ユニバース(ヴァージョン)」は未発表曲、他の4曲はアルバム収録曲のバージョン違い等。未発表曲のうち3曲はジョン・ロードがオルガンを弾いている。

4
TARANTULA

1996年。「ゴーイング・ブランク・アゲイン」以来のオーソドックスなロックンロールとなり、「ゴーイング・ブランク・アゲイン」と「カーニバル・オブ・ライト」の間のようなサウンドとなっている。90年代のイギリスのロック、ブリット・ポップにあるやや倦怠感を帯びたロックがあり、個性が薄れた時点で解散したのはいいタイミングだったと言える。12曲のうちアンディ・ベルが作曲に関わった曲が10曲あり、ボーカルのマーク・ガードナーが作曲した唯一の「ディープ・インサイド・マイ・ポケット」はオルガンが活躍する。

LIVE LIGHT

1995年。ライブ盤。日本盤は1998年発売。

OX4_THE BEST OF RIDE

2001年。ベスト盤。日本盤は2015年に再発売されている。

WEATHER DIARIES

2017年。再結成。デビュー当初のシューゲイザー風サウンドではなく、シューゲイザーの影響を受けたサイケデリックなロックになっている。かつてのサウンドを大きく変えず、ところどころにそのサウンドを垣間見せながら非定型のロックをつくるのは、再結成のアルバムとして最も無難な手法だ。ライドはボーカルの声量が大きくないため多くの部分でハーモニーをつけているが、再結成でもハーモニーは従来通り。「ロケット・シルバー・シンフォニー」は厚め。日本盤はインストに近い26分のサイケデリックな曲が収録されているが、「インテグレーション・テープ」の未使用部分というような曲。