変革期の60年代

ベトナム戦争、人種差別問題、公民権運動、学生運動、アメリカン・ドリームの終焉など、60年代後半の社会変革期を歌った曲のオムニバス盤。

PARIS IN THE SPRING

2018年。邦題「1968年5月、パリの春~音楽のヌーヴェル・ヴァーグのはじまり」。フランス、パリの学生による1968年の五月革命は、政治的には成功しなかったが、フランスの文化や芸術の革新をもたらした。ポピュラー音楽では、従来のシャンソンやイエイエが英米のフリージャズ、フォーク、サイケデリックロック、電子音楽、ポップス等の影響を受け、サウンドに暗さと難解さ、社会性が加わるようになった。1967年から1976年までのフランスの新しいポピュラー音楽を集めた企画盤。セイント・エティエンヌのメンバー2人が編集している。23曲収録。シャンソンは以前から暗い曲もあったが、シンセサイザーの導入で新しい音の暗さを獲得している。セルジュ・ゲンズブール、フランソワーズ・アルディ、ミッシェル・ポルナレフ、フランス・ギャル等の有名アーティストも収録。日本盤の解説は赤岩和美。

STATE OF THE UNION

2018年。邦題「戦争、差別、暗殺、そして家族~アメリカン・ドリームの蹉跌、自壊と再生のうた」。ベトナム戦争、人種差別、公民権運動に揺れていた60年代後半、有名歌手やグループが社会問題について歌った曲を集めた企画盤。24曲収録。録音は67年から73年。多くが50年代、60年代初めから活動しているアーティストだ。ディオンの「アブラハム、マーティン・アンド・ジョン」収録。この企画盤では「リンカーン、キング牧師、そしてケネディ」として収録されている。レイ・スティーヴンスの「ミスター・ビジネスマン」、アーサー・キットの「ペイント・ミー・ブラック・エンジェルズ」、テレサ・ブリューワーの「セイヴ・ザ・チルドレン」は現在でも有効なメッセージだ。フォー・シーズンズの「土曜日だけの父親」は、離婚後に土曜日だけ子供と面会を許可された父親を歌う。清新なイメージを求めるフォー・シーズンズのファンから不評だったという。ビーチ・ボーイズの「7月4日」が当時発表されなかった理由が、ベトナム戦争への批判であるならば、フォー・シーズンズと同様、70年前後が60年代ポップスのアーティストにとって難しい時代であったことを物語る。日本盤の解説は安田謙一。

A SOLDIER'S SAD STORY VIETNAM THROUGH THE EYES OF BLACK AMERICA 1966-73

2003年。邦題「ある兵士の悲劇~ブラック・アメリカが見たベトナム戦争」。ベトナム戦争に出兵したアフリカ系アメリカ人に関するソウルの曲を収録した企画盤。出兵から帰還後までを順番に並べている。最初の曲は「召集令状」、次の曲は恋人に召集令状が来て悲しむ女性の曲。60年代は恋人に手紙を出す戦地の兵士の曲が多いが、70年代に入ると反戦の曲が増える。ビル・ウィザーズの「手紙書いてくれないか」は戦地で腕を失った兵士が戦友に「母親に手紙を書いてほしい」と頼む曲。日本盤は2015年発売。日本盤の解説は安田謙一。

DOES ANYBODY KNOW I'M HERE? VIETNAM THROUGH THE EYES OF BLACK AMERICA 1962-1972(VOL 2)

2005年。邦題「俺はここ(戦場)にいる~ブラック・アメリカが見たベトナム戦争第二集」。「ある兵士の悲劇~ブラック・アメリカが見たベトナム戦争」の続編。前作に続き手紙にまつわる曲があるが、続編では戦地の息子と母国の母親という曲が出てくる。マーサ・リーヴス&ヴァンデラスの「名誉の戦死」収録。「黒い戦争」で知られるエドウィン・スターの「ウォー」はテンプテーションズのバージョンで収録。日本盤は2015年発売。日本盤の解説は安田謙一。

CHANGE IS GONNA COME THE VOICE OF BLACK AMERICA 1963-1973

2007年。邦題「チェンジ・イズ・ゴナ・カム~ブラック・アメリカが唄う自由と差別と人権と」。アフリカ系アメリカ人が、特に人種差別や公民権、人権について歌った曲を集めた企画盤。23曲収録。オーティス・レディング、インプレッションズ、ステイプル・シンガーズ、ドリフターズ、ジェームス・ブラウン、スピナーズ、パーラメント、シャイ・ライツ、テンプテーションズ、ダニー・ハザウェイ、ギル・スコット・ヘロン、ニーナ・シモン等を収録。「すべてが報われる時」「40エーカーとラバ1頭(奴隷の代償)」「我らみな隣人」「ブルーに生まれて」「いつか自由に」「革命はTVに映らない」「自分に誇りを」というタイトルは、英語の原題も含め、アフリカ系アメリカ人であるからこそ強い説得力がある。日本盤は2017年発売。日本盤の解説は安田謙一。

GREATEST HITS FROM OUTER SPACE

2013年。邦題「宇宙時代のヒッパレー」。60年代の宇宙開発の時代に出た、宇宙をテーマにした曲を集めた企画盤。1958年から69年までの曲を収録。デヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」、バーズの「ミスター・スペイスマン」といったロックの有名曲、トルネードスの「テルスター」、ベンチャーズの「トワイライト・ゾーン」が含まれる。単に宇宙や月面着陸を歌った曲のほか、当時珍しかった電子音で宇宙や人工衛星の浮遊感を表現した曲も多い。スプートニクスもアーティスト名だけなら選曲されたかもしれないが、適した曲がなかったのか、収録されていない。オープニング曲はカール・ベーム指揮、ベルリン・フィルの「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭で、映画「2001年宇宙の旅」の主題曲。